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2017年8月9日水曜日

することとなることのあいだ

当別エコロジカルコミュニティーによる「北海道高校生自然環境ミーティング」、2日目である。私が関わらせていただいて3年目だが、この3年で最も自由度が高い時間を過ごしてもらうことにした。ただし、初日に「昨年度の宿題」を発表する時間が設けられていなかったことに気を揉んでおられた先生がいたことを受け、朝食を終えて片付けがなされた後、直ぐに生徒さんたちから発表してもらうことにした。前日に行わなかった理由としては、プロジェクターを使って、用意してきた素材が説明されることにより、その場で積み上げられてきた議論と、その雰囲気が大きく変わってしまうことを危惧したという点があったのだが、用意してきたものが披露できないことで不満が募るのもまた本望ではなく、朝一番に行うことにしたのである。

こうして即興により場が組み立てられていく中で、せっかくプロジェクターを用意したのであれば、ということで、私からミニレクチャーをさせていただくことにした。立命館大学でのサービスラーニングによる学びのスタイル、またオールボー大学における問題解決のための学びのシステム、それらを念頭に踏まえながら、地域を、社会を、地球をよりよくするとはどういうことかについて問いかけを重ねたのである。そこでは、活動の目的と目標の違いに関心が向くようにと、「する」と「なる」の語尾の違いをもとに、現状を観察し、原因を分析し、理想を構想し、当面の活動を設計する際のポイントを示した。そして、昨晩のうちに編成した3つの班により、それぞれの活動を進めてもらうことにした。


3つの班を活動の種類により大別すると、ものづくり、場づくり、リサーチの3つとなった。ものづくり班は自然環境により深く触れるための解説・案内・情報を記した看板をつくる、場づくり班は秘密基地をコンセプトに自然環境に気軽に親しむための空間を構成する、リサーチ班は新たに町内に生まれる施設が自然環境への関心を抱く拠点となるように情報収集を行いつつ行動を促すために地図に表現するという方針で活動されていった。それぞれの班には各校の先生がペアで配置され、加えて当別エコロジカルコミュニティーのスタッフが1名ずつ配置された。オールボー大学でのPBLで言えば、先生方はファシリテーターとして機能し、スタッフの皆さんはスーパーバーザーとして存在してもらえればと願っていたが、どちらかというとその役割は反対になっているようにも感じた。

もちろん、全ての班、生徒たち、先生方、スタッフがそうであるとは言えないが、現状の分析というのは自分がちが置かれた状況に対する制約条件を整理することと捉えられる傾向にあるように思われた。ところが今回は、自然環境がよりよくなるための活動を構想することが重要であり、そのために求められる現状の分析とは、今、自分たちの身の周りがどういう状況にあって、その何が問題であるかを定めることから始まると示したつもりである。ところが、いくつかのグループは「何をすれば自然環境がよくなる活動になるか」という観点で議論が進められていたようにも見受けられ、それでは人間と自然環境とを切り離した上で、人間を主体とする自然環境を対象とした活動になってしまい、人間側の事情に基づいた現在から未来への流れ(フォアキャスティグ)であって理想から紐解いた当面の活動への接近(バックキャスティング)ではない。ともあれ、一連の思考パターンに対する学びも深めて欲しいという思いから、そっと動きを見守ることにしたのだが、ある班のメンバーが途中で離脱を希望するという事態も起き、そこにはどうにも介入が必要と判断し、チームワークによる体験学習において蔑ろにしてはいけない点を指摘することにした。


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