ブログ内検索

2017年10月22日日曜日

デンマークで見るいくつかの風景

先日お会いしたKeiji Shinohara(篠原奎次)先生の個展を鑑賞しに、ティステズ(Thisted)という街に出かけた。今、住んでいるオールボーと同じ北ユラン地域のまちだが、ヴェンシュセルチュー島(Vendsyssel-Thy、北ユトランド島Nørrejyske Øとも言われる)にある。北を上にした地図で言えば左上、デンマークの中でも北の西端にあたる。鉄道駅もあるが、鉄道はユトランド半島の西側のStruerとのあいだを運行する路線のため、オールボーからはバスで行くのが得策である。

会場は1853年建築の旧市庁舎で、リアルダニア(Realdania)という団体によるプロジェクトでリノベーションされたものである。この団体は1795年のコペンハーゲンでの大火を契機に設立(1797年)された信用組合を前身としており、2000年に投資と貸付部門が売却された後は、組合員による社会貢献団体として活動している。最新の年次報告書(2016年)によると既に3000以上のプロジェクトに172億クローナ(およそ3071億円)を集めたとある。今は美術館と観光協会が入る旧市庁舎も、この組合のメンバー(建築家ら)によって、新たないのちが吹き込まれることになった。

今は米国籍のShinohara先生による版画は、アメリカ、日本(枚方など)、そしてデンマークと、それぞれのまちの風景が、テーマにそった色で表現され、大変味わい深いものばかりだった。ぜひ、手元に、というものもあったが、そういうものに限って既に個人蔵とされていた。快晴の空、旧市庁舎の窓からは、15世紀の終わりに建てられた教会などを臨むことができ、Shinohara先生の描く世界に共鳴していた。受付も地元で長らく先生をされていた方のようで、日本のギャラリーや美術館等で違った印象を抱いて帰ることができたように思われる。


ただ、日曜日ということもあって、まちが静けさに包まれていたのが少し残念だった。ランチもスーパーのパンコーナーで調達するに留まった。ただ、英語もあまり通じなかったこともあり、デンマークに来ているということを実感する機会ともなった。帰りもまた、行きと同じく長距離バスでの移動となったが、明日からの仕事や勉学に戻るためか、ほぼ満員での車内に、行きと違った旅客情緒を楽しんだ。



0 件のコメント:

コメントを投稿